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肩の荷 - wakamatsuさんのブログ

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wakamatsu さんのブログ

 
2016
11月 22
(火)
09:37
本文

私が以前勤務していた国際原子力機関(IAEA)での日本人の先輩のTさんから電話があったのは、今年の5月のことであった。
ウィーンで1年弱御一緒した関係で、40年経った今も懇意にして頂いている。
さて、その電話の内容だが、同氏はその頃保有していた数千万円相当の預金をずっと今もオーストリアの銀行に預けたままにしているのだが、解約しようとして困っている、助けてほしいという趣旨であった。
さらには、当時オーストリアの年金制度に加入していて、それがどうなっているかも知りたい由であった。
銀行口座の解約ならそれほどの困難もなさそうだし、同氏は語学も数か国語堪能であるし、何が難しいのかと最初は思った。
よく聞いてみると、預金した銀行と自分の口座がどうなったのかがわからない。
調べようとしても、照会先が分からず、あちこち問い合わせても預金口座が見つからず、さらに自分が預金者本人であることがなかなか証明できず、困窮しているようすであった。
そして、同氏は、銀行関係者や知り合いの税理士、弁護士、ウィーン駐在経験のある知人など問題解決に繋がりそうないろいろな人に助けを求めたらしいが、手掛かりが少ないことと、何しろ40年も前のウィーンでのことなので問題の解決に至っていないということだった。

私も安請け合いできる話ではなかったが、少しでもお役に立てるならと調べてみることにした。
預金の預け先は当時の西ドイツのコメルツバンクのウィーン支店とIAEAの中にあった銀行だという。

コメルツバンクの方は、比較的早く解決した。
欧州の通貨統合の時銀行にどのようなことがあったのかを把握するためEU指令を調べてみたところ、その概要が分かった。
これらを念頭に置いてコメルツバンクのwebを調べていくと、口座行方不明の原因が分かった。
欧州の通貨統合の際に、オーストリアからみて非居住の外国人の口座の取り扱いをウィーンからフランクフルトに移しているので、ウィーン支店に口座がなかったのである。

また、IAEAの中にあった銀行は、クレジットアンシュタールトという銀行だった筈だと私の記憶に照らして判断した。
実は、私がウィーンを離れる時かなり古いフォルクスワーゲンの車をそのクレジットアンシュタールトのIAEA支店長氏に売ったことがあったので、よく記憶に残っていたのである。
免許取りたての娘さんに買い与える由であった。

そこでこの銀行についてWebで調べてみて驚いた。
この記事の中に、

1991年に、1905年発足で赤いウィーンの影響を残す貯蓄銀行のツェントラール・シュパールカッセ (Zentralsparkasse)と、業績が下降していたオーストリア・レンダーバンク ( Länderbank) の合併によりオーストリア銀行 (Bank Austria, BA) が設立された。
1997年に CA の政府保有分の株式が BA に売られ、CA は非上場となり、以降5年間かけて合併を進めた (Bank Austria Creditanstalt, BA-CA)。
その途中の2000年、BA は株式交換によりドイツのヒュポフェラインス銀行 (HypoVereinsbank, HVB) 傘下となった。
2005年に HVB がウニクレディト・グループに買収されることで、BA-CA もその傘下となった。
2008年に、企業ブランド名を Bank Austria とすることで、創業から153年にして銀行名から Creditanstalt の名前が消えることとなった。

と記されている。

クレジットアンシュタールト銀行は、現存しないばかりか、この40年の間にオーストリア銀行、ドイツのヒュポフェラインス銀行、イタリアのウニクレディト・グループへと3回も買収されていたのである。
それでは、トレースするのも難しいわけである。
しかも、途中で通貨統合があり、どの銀行もシステムが大きく変わり、管理替えが行われているということだった。
そこで、私が代筆して、それぞれの銀行の各担当部署と数回ずつ手紙のやり取りを行い、元の口座との紐付けをすることができた。

しかし、本人確認ではまたも難渋した。
身分証明のために送ったパスポートの顔写真も40年前のものと照合したところで、当然役に立つはずもなし。
在日オーストリア大使館で署名証明をとることなどが銀行から勧められたが、地方在住のT氏は健康上東京まで出向くのが難しい。
さらに、T氏は高齢で手が震えるのでサインがうまくできないのである。
そこで、苦肉の策として手紙を書いた。
その手紙で、健康上の理由と、IAEA時代のパスポート情報とを知らせることにより、やっと状況への理解と預金者本人確認を取り付けることができた。
半年の時間を要したが、何とか無事問題を解決することができた。
そして、その預金が解約され、今日入金したとの連絡があった。

年金の方は、調べてみると、加入期間が短いので受給資格は得られていないが、日墺政府間で社会保障協定を締結すべく現在交渉中であることが判明した。
この協定は、外国人がそれぞれの滞在国で年金制度に組み込まれ、いずれ掛け捨てとなってしまうのに掛け金を払わされる、という不合理を解消するため、それぞれ外国で年金制度に加入した期間を自国の年金加入期間に算入する等して救済しようとする措置を内容とした協定である。
協定の成立と、施行を見守ることとした。

うまくいかなかったらどうしようか、と不安がよぎることもあったが、なんとか、半年ぶりに一件落着し、私も今日はやっと肩の荷を下ろした気分でほっとしている。


Bank Austria wikimedia commons より

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