メインメニュー
AdamとEve - wakamatsuさんのブログ
wakamatsu さんのブログ
National Geographic の 「新 遺伝子の旅 人類の起源をたどる」という番組を見た。
この番組は5月7日に放送されたものだが、細部がよく理解できなかったので、録画しておいたものを今日再度レビューした。
遺伝子から人類の起源と移動の歴史をたどる、という実験が行われた、その記録であるという。
遺伝学者スペンサー・ウェルズ博士率いる Genographic Projectとして行ったものである。
New Yorkでこの実験に参加した数百人からDNAを採取して解析し、共通の因子を分類していくと、この実験の参加者の遺伝子ツリーができるという。
ミトコンドリアDNAは、母からのみ、子に受け継がれる性質があり、これは組み換えが行われないので、突然変異の場合以外は変化しない。
これらの性質を利用すると系統樹が分岐した時代が確率論的に推定できるのだそうだ。
Y染色体は男性にのみ受け継がれるので、男性は、Y染色体を調べると現生人類に最も近い人類共通の男系祖先、いわゆる「Y染色体Adam」に辿り着き、女性は、ミトコンドリアDNAを調べるとそれぞれ現生人類に最も近い人類共通の女系祖先、いわゆる「ミトコンドリアEve」に辿り着くという。
人類の移動の痕跡を辿ると、その源は、すべてアフリカの特定の地域に集中しているという。
旧約聖書に出てくるAdamとEveは、あくまで架空の話だと思っていたが、このような遺伝子レベルの推論を積み重ねていくと、それぞれ一人のAdamと一人のEveが実在したことが実証されることが分かった。
ただし、この番組の情報によると、Adamは約6万年前、Eveは約15~20万年前と推定されるというから、この二人が夫婦となり、この二人から全人類が誕生していったということにはならないだろう。
なお、wikipediaのミトコンドリア・イブのページでは、Y染色体Adamの時代推定6万年前を支持しているが、Y染色体Adamのページには、20~30万年前と記載されていて、諸説あることを窺わせる。
また、AdamやEveが当時それぞれ一人存在していたとしても、その時代に人類はAdamとEve以外にいなかったというわけではない。
同時代にその他大勢の人類が共存していたとしても、この実験結果と矛盾するものではない。
この実験は、AdamやEve以外の人類のY遺伝子とミトコンドリアDNAが現代までに途切れているというということを示唆しているに過ぎないからである。
このAdamとEveから現生人類に至る系譜に纏わる複雑な様相について、wikipediaのミトコンドリア・イブの項には詳しい解説があり、特に、「よくある誤解」にある記述は興味深い。
それにしても、ほんの僅かな手がかりと、科学的な説得力ある推定と、緻密な論理を駆使して、よくまあ全人類の共通の祖先の絞り込みを行ったものだと思う。
DNA Wikimedia Commons より
コメントを書く |
---|
コメントを書くにはログインが必要です。 |