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収束と終息 - wakamatsuさんのブログ
wakamatsu さんのブログ
2021
5月
23
(日)
00:30
本文
昨年来新型コロナウィルスが蔓延し、一部地域では医療崩壊の危機に瀕している。
流行を防ぐためには、マスクや手洗いなどの衛生管理とともに、人と人との接触を極力避けるなどの対策が求められる。
その結果、集客を前提としている業種の活動に厳しい負荷がかかり、経済、雇用に重大な問題が発生している。
感染対策と経済対策の両立が求められているが、その考え方について、気になることがある。
新規感染者数と実効再生産数という指標が、流行の程度を判断する指標として用いられている。
実効再生産数が1より小さければ「しゅうそく」する、と言われている。
コロナは「しゅうそく」するから経済活動は再開させるべきだ、などとも言われる。
同じ発音のよく似た言葉なので混同しやすいが、前者は収束であり、後者は終息であるはずである。
感染者が1000人いた時に、実効再生産数が0.9であるとき感染者数の推移は、(簡単のため、感染のタイミングは一定間隔で同時に起こると仮定すると)以下の通りとなる。
増加分 | 新規感染者数 | 累計 | |
1000 | |||
1000 | *0.9= | 900 | 1900 |
900 | *0.9= | 810 | 2710 |
810 | *0.9= | 729 | 3439 |
729 | *0.9= | 656 | 4095 |
656 | *0.9= | 590 | 4685 |
このように新規感染者数は減少していくとしても、感染者の累計は増加を続け、その増加の勢いが少しずつ鈍っているに過ぎないことに注意する必要がある。
実効再生産数が1より小さい時収束するというのは、この条件が満たされれば、新規感染者数が等比数列的に小さくなり0に近づくことを意味しており、上記の例の場合累計は当初の10倍の10000人まで増加する。
実効再生産数が1より小さいという条件が維持されていても、0.99の場合は、100倍にまで増加する。
実効再生産数が1より小さいという条件が維持されていても、0.99の場合は、100倍にまで増加する。
このように増加すると、そもそもその実効再生産数の仮定が成立しなくなると思われる。
「収束」は、「感染者総数は、如何に大きいにせよどこかの値でいつかは止まる」ことを示しているのであって、コロナの感染が収まることを何ら示唆していない。
すなわち医療崩壊など危機的状態を管理するための指標とはならず、「治療を要する感染者がいなくなる」という、すなわち終息が目標でなくてはならない。
マスコミの報道などを見ても終息と収束の混同が散見される。
新規感染者数の僅かな減少に過剰な期待をかけ過ぎ、感染予防の緩和を急ぎ過ぎる傾向がみられるのは、この誤解が原因であるように思えてならない。
治療を要する感染者の総数
= 感染者の総数 - 治癒した人数 - 無症状の人数
= 感染者の総数 - 治癒した人数 - 無症状の人数
- 死亡した人数
治療を要する感染者の総数が治療可能な人数に比較して十分に小さくなるように管理していけば、着実な判断ができるのではないだろうか。
医療を必要としているのは、救急搬送されてくるコロナ患者ばかりではない。
自宅やホテルで待機している感染者や、新型コロナのために、医療関係者や診療の機会を奪われた一般の病気の患者も医療崩壊の顕在化しにくいリスクであることを忘れてはならないと思う。
自宅やホテルで待機している感染者や、新型コロナのために、医療関係者や診療の機会を奪われた一般の病気の患者も医療崩壊の顕在化しにくいリスクであることを忘れてはならないと思う。
covid-19 wikimedia より
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