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私の関心  - 若松 茂三

核反応に関する学会発表


 2010年12月11−12日に岩手大学で開催されたJCF11(常温核融合学会)において「水素生成過程で発生した核反応のメカニズムに関する仮説」と題する口頭発表を行った。 
JCFページ掲載のアブストラクト  拙稿はJCF11−6

(日本語仮訳)

水素生成過程で発生した核反応のメカニズムに関する仮説

若松 茂三

 水素生成過程で発生した核反応とみられるある反応について、そのメカニズムの理論的可能性を探り、ひとつの仮説を提供しようとするものである。
この反応では、見掛け上酸素が水素と窒素及び炭素に核分裂したかのような現象が見られ、過剰熱が観測されているが、核反応の形態やエネルギー収支の面で解釈が困難である。
理論的探索の結果、いくつかの種類の核反応の組み合わせにより上記核反応の可能性が解釈可能であることが判明した。
なお、この反応実験は、インテクトホールディング社において行われたものであり、本稿においては、実験の結果を肯定することが目的ではなく、そのような実験結果があれば、このような解釈ができるという理論的な仮説を提供しようとすることが目的である。
この仮説のアウトラインは、以下のとおりである。

反応には、異なる元素間で質量の授受があり、微量のγ線が観測されていることから、核反応であることを示唆している。
酸素が水素と窒素に分裂し、また、窒素が炭素と水素に分裂すると上記の核反応が起こりうるが、これは核吸熱反応であり、どのような迂回路を経由するにしても、それに必要なエネルギー供給がなされなければならない。核吸熱反応に必要なエネルギーの規模を考慮すると、核発熱反応が発生していて、そのエネルギーが核吸熱反応に供給されていると考えざるを得ない。その差が過剰熱となっていると考えられる。

次に核吸熱反応については、複数回の電子捕獲と中性子放出、複数回のβ壊変のプロセスを想定すると質量数が1小さい原子と水素が生成される核吸熱反応を構成することができる。
これを、酸素原子に当て嵌めると、窒素と水素の生成が解釈でき、これを窒素に当て嵌めると炭素と水素の生成が解釈できる。順次これを繰り返すと、ヘリウム生成にまで適用することができる。
なお、核発熱反応については、現在具体的な実験結果が得られていないが、関与している物質の種類から、酸素とニッケルの間の質量数の反応生成物を検証すると手がかりが得られるものと期待される。凝集体核反応が発生しているのではないかと予想される。

これら核反応が、低温低圧で安定して発生していることは注目に値する。それは、核発熱反応で得られたエネルギーが一部消費されたのち、核吸熱反応で吸収されていることにより、核反応において懸念される核暴走が避けられることである。
また、この反応は、化学反応律速となり、化学物質の供給制限により制御可能となる点も重要である。


 

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